『後夢』

Written by:しょう


 連れていって下さい

 お前がそう言うのではないかと ずっと恐れていた
 決して叶わぬ事と お前は痛いほど分かっているはずなのに
 それを分かっているはずなのに
 俺は恐れていた
 
 どんなに心を繋ぎ留めても 
 二度と互いの温を感じあうことは 叶わず
 明日のお前の姿はもう 俺には幻なのだろう
 

    確信の ように すり抜ける



 あの時 お前は変わらぬ微笑みのなかで言った

 「どうか 連れていって下さい」
 
 息を止める俺の胸が小さく鳴った
 それに気付いたのか そうでないのか
 お前は少し小首をかしげ 甘く囁く

 「連れていって下さい
  私の半身は既に無く けれども私達の」

 呼吸をおいてつづける

 「私達が出会い 共に歩んだ軌跡を その自然を
  どうかあなたと共に」

 黒瑪瑙の瞳を 潤ませる事もなく
 まるであの日常のように 
 

    壊してしまおう

 
 俺はそう思うと同時に 痛く骨だけになったお前を抱き締めた
 今までに無いほどきつく
 「壊してしまいたい」
 せめて俺の腕で 俺の目の前で

 激しく締め付けられた痛みに声も上げず お前はただただうっとりと目を細めた
 そして一言

 「あなたと共に生き 幸せでした」

 呟きは その強い精神力を詰め込んだようなものだった
 決して負けないお前の命は この時 俺の一部になった

 そのまっすぐな瞳に 薄い花色の唇に 
 俺は答えを落とす

 「ずっと 愛しているよ」









 「ずっと愛していたんだ」

 視界には青と白と 頬をなでつける風がただ
 他には何も 誰もいない
 黒く染まった白い手袋を、片方そっと脱いだ

 「俺ももう 半分そっちだなぁ」

 聞こえているのだろう? 
 そして風にさらした手を伸ばし 冷たくなっていくその感覚を刻んだ

 「あれからもずっと 愛していたよ」 

 変わらずに お前だけ
 だから


 連れていってくれ
 今度こそ 共にあろう



 終



※今気付きました!土方、沖田両名の名が出てこない!!ということは誰でもいいんじゃねーか!?と!
そうはいかないので自分を落ち着かせるためにもここで言わせて下さい!土沖ですーー!(汗
「俺」が土方で「私」(お前)が沖田ですーー!何が何でも土沖ですーー(しつこっ



ご投稿、ありがとうございましたv(管理人)

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